KNOWLEDGE『資産一覧表』をつくってみよう!

賃貸マンション事業の基礎知識

賃貸事業に必要な経営者としての意識
固定資産税・相続税対策を前提とした経営
マンションの工法など、経営に役立つ基礎知識をご紹介します。

上手な税金対策あれこれ

 これまで本紙面にて相続対策の第一歩は、自分の資産の原状把握をすること、すなわち、資産の棚卸しをすることとお話してきました。 普通、会社であれば年に一回は決算をして、貸借対照表や損益計算書を作ります。 これによって、その会社の実情や問題点などが明らかとなり、改善すべきポイントなどが分かるわけです。 個人の資産運用においても、これと同じことが言えるのではないでしょうか!?

『資産一覧表』をつくってみよう!

 将来の相続に対して適切な準備を行うためには、まず、現状の資産と債務がひと目で分かる一覧表を作ることが大切です。 相続税額を試算したり、節税計画を立てるにも、自分が保有している財産を正確に把握しなければ始まりません。 右図の表にならって、一度、「資産一覧表」を作ってみませんか!?

資産の調べ方

 所有する財産の種類や数量がそれほど多くない場合は、あまり時間はかからないでしょうが、不動産や株式などを多く持っていらっしゃる方は、結構、 自分の財産を把握していないというケースが多いです。
 まずは不動産についての調べ方ですが、再度「権利証」を調べること、権利関係も確認するために登記簿の謄本をとっておくことをお奨めいたします。 登記簿はその不動産が所在する法務局に行って、所定の書類に記載をして申請すれば誰でも交付を受けられます。あと、不動産の調べ方としては「名寄帳」 があります。これは同一の市町村に所在する土地と家屋の全部を所有者ごとにまとめたものであり、その不動産が所在する役所に行けば、本人の申請により その写しをもらうことが出来ます。
 株式等の有価証券や預貯金等の金融資産については、預金通帳や月次報告書などがあるはずですから、それらを確認しながら1つずつ拾い上げていけばよ ろしいかと思います。これらを一覧表に記入する際は、預貯金については金融機関ごとに区分しておくと、あとあと便利です。また、有価証券も種類とそれ ぞれの銘柄ごとに記載するのが良いでしょう。
 あとは、現時点で保有している財産ではないかもしれませんが、「生命保険金」や「退職金」も後の相続財産となりえますので記載することが必要です。 金額の記載に当たっては、保険金、退職金ともに予想としての金額を入れてください。
 とりあえずは、右図の資産一覧表程度のもので十分かと思います。ただし、資産状況は予想以上に変動するものですから、年に1回程度の頻度で作り直すこ とをお奨めいたします。

資産一覧表の分析

 資産の一覧表が出来たら、その内容をよく検討して、分析してみましょう。そこで新しい考えや対策の方法が見えてくるかと思います。分析の視点は色々あるかと思いますが、参考までにいくつか書かせていただきます。

  • 現時点で相続があった場合、相続税額はどの程度になるのか。
  • 相続があった場合、納税にあてられない資産はどれか。
  • 現在の金融資産で納税資金がまかなえるか。
  • 相続時までに評価額が上昇する可能性がある資産はどれか。
  • 配偶者、子供に生前贈与できる資産はどれか。
  • 配偶者の老後のために確保する資産はどれか。
  • 相続時に相続人同士でうまく資産を分割できるか。
  • 保有資産で低収益のものや有効活用できるものはないか。

 上記のような視点で吟味してみますと、これまで気がつかなかったような問題点も見えてくることがあるのではないでしょうか!?よくある事例としまして は、相続財産が非常に多額であるのに対して、金融資産の割合が少ないというパターン。つまり、納税資金の確保が困難になるというケースです。仮に、納税資金 を何とか間に合わせたとしても、もし、納税後に残る資産が自宅だけということになれば配偶者の老後の生活に支障をきたすかもしれません。
あるいは、資産が大きい割りにその種類が少なく分割が難しいという状態では、相続時に遺産分割でトラブルが起きるかもしれません。いずれにしても、資産の棚卸しを行い、一覧表にしてみることは「理想的な相続」を目指すための第一歩であると言えます。

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