KNOWLEDGEその支出が賃貸経営をする上で
適切な額かどうか…
賃貸マンション事業の基礎知識
賃貸事業に必要な経営者としての意識
固定資産税・相続税対策を前提とした経営
マンションの工法など、経営に役立つ基礎知識をご紹介します。
資産活用・土地活用事業には成功の条件があります
その支出が賃貸経営をする上で適切な額かどうか…
本稿で記している基本的なテーマは、他物件に対し、永続的に差別化を図るということです。しかし、高い入居率を維持しようと考えても、投資額・建築費が高すぎては経営は成り立ちません。 そのため、前回はこのようなことにならないための判断指標として「安全性分析」について触れ、そして、代表的な指標のひとつとして「損益分岐点」を挙げました。今号では、収益性の観点から、行おうとしている 土地活用が本当に適正なものかどうか判断するために「投資利回り」について記してまいります。まずは、特に基本的な6つの利回り指標についてお話しましょう。
『総投資額表面利回り』は建築費や初年度経費といった初期に新たに投資する額に対して、どの程度の効果があるかを判断するためのものです。つまり、企画された建築物件のお金のかけ方が、適切かどうかを判断する指標と言えます。 同時に、以前記した「安全性」についても判断できます。『総投資額実質利回り』のパーセンテージが、『総投資額表面利回り』より下回る場合には、非常に危険といえるわけです。
『総投資額表面利回り』,『既存資本実質利回り』は、活用しようとしている土地の評価額に対して、どの程度の効果があるかを判断するためのものです。まさに、「土地活用指標」といえるでしょう。更地のままでは、 その土地自体で何の収益も産みませんが、そこに建物などを建てることにより、初めて収益が発生することになります。土地の評価に応じたリターンが望めるかどうかの判断指標として使用します。また、本来であれば、これに節税効果を加えて、判断することになります。
『総資本表面利回り』,『総資本実質利回り』は上記『総投資額表面利回り』,『総投資額実質利回り』と『既存資本表面利回り』,『既存資本実質利回り』をあわせたかたちです。つまり、建物への投資の評価と土地の使われ方を総合して求めるための判断指標となります。
その支出が賃貸経営をする上で適切な額かどうか…
総投資額(つまりアパート建築のために 新たに投下する建築費等のコスト)や、既存資本(所有している土地の評価額)、そして、総資本(総投資額と既存資本を合わせたもの)の3つに対して、借入金返済や委託管理費、税金など を引く前の現金収入と、それらを引いた後の現金収支がどの程度あるかどうかをパーセンテージで表したものです。
最終的に手元に残る現金が非常に多くても、それに対しかけたお金が多額であれば、収益性は低いことになります。逆に、手元に残る現金が少なくても、それに対してかけたお金が非常に 低ければ、非常に効率的な土地活用ができたことになります。まさに土地活用の効率性を判断するための指標なのです。今号では、この効率性(収益性)の判断に続いて、土地活用前と後とを比較することにより、どの程度活用できたかの評価について記してまいります。
(事例は下記のように前回のモノを同じく使用します。)
1と2は、約8,000万円の価値がある土地に対して、どの程度の収益が挙げられているかを表したモノです。特に のように年間の諸経費(現金支出)を引いた現金収支に対する利回り (既存資本実質利回り)では、駐車場経営が1.9%に対し、アパート経営は3.9%と高くなっています。但し、アパート経営は建築費等の初期投資が必要で、このケースでは6,000万円 を投下していますが、それを含めた「 総資本実質利回り」の比較においても、駐車場経営の1.9%に対し、アパート経営は2.2%と高くなっています。