KNOWLEDGE「相続税対策としてのアパート建築」

賃貸マンション事業の基礎知識

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固定資産税・相続税対策を前提とした経営
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「相続税対策としてのアパート建築」

 相続対策のための土地活用の代表的な手段としてアパート建築があります。
しかし、節税第一でアパートを建ててしまう前に確認しておきたいポイントもいくつかあります。
今回は、そのポイントをいくつかご紹介したいと思います。

「相続税対策としてのアパート建築」

 土地所有者にとって相続対策とアパートマンション建築などの土地活用は密接な関係があるのはご承知のことと思います。
今回は土地活用の前に知っておきたいヒントを何点か解説いたします。

土地活用の相続対策の関係

 アパートを建築することにより相続対策になるということはよく耳にします。しかし一口に相続対策といってもさまざまな対策があり、アパート建築が相続対 策上どのようなどのような効果があるのか本当に理解している人は少ないのが現実です。
 相続対策には以下に掲げる4つの柱がありますがアパートを建築する事による「相続対策」とは「建物を人に賃貸することによる制約上の理由から相続税の財 産評価をする上で土地および建物の相続税評価額から一定額を減額する」という評価の引き下げにウエイトを置いた対策です。相続税の納税という観点で考える とアパートの土地建物は、管理上の問題から相続税の物納が認められづらく、借入金によりアパートを建築している場合は売却して売却後の現金を納税に充てるこ とが困難となる場合が多く見受けられます。

■相続対策の4つの柱

  • 財産の評価引き下げ
  • 財産の移転
  • 納税財源の確保
  • 遺産分割

 したがって万一相続が発生した場合の納税財源が足りない事が明らかな場合は賃貸アパートを建築する事により相続税の納税に苦慮することが想定されます。 このような場合は相続税の納税という観点からアパート建築は好ましくないといえるでしょう。
 万一のときに相続税がかかるであろう方における相続対策の優先順位は第一に納税財源を確保することです。まずは全体財産の中から納税財源(売却あるい は物納用不動産)の確保が可能であるかどうかを把握したのちに納税財源以外の不動産をいかに有効活用するか検討すべきです。

有効活用と建物名義

 遊休地にアパートマンションを建築する場合、誰の名義で建築するか(誰が建築資金を出すか)が重要なポイントとなります。建物名義によって、相続税に与える影響が異なります。いくつかのケースにそってポイントを解説いたします。

 この場合、親の相続税評価額は土地については貸家建付地の評価減により更地評価(自用地)から約20%減額、建物は固定資産税評価額(建築価格の約60%) から貸家による評価減(約30%減額)が受けられますので建築価格から約60%減額されることになり、相続税評価額は大きく引き下げることが可能となります。 反面、賃料収入は親の所得となりますので時間経過とともに親の相続財産は増加していきます。

 この場合、親の相続税評価額は土地については貸家建付地の評価減の適用が受けられませんので、土地は更地評価(自用地)としての評価になります。しかし、建物は子供名義ですので賃料収入はすべて子供の所得となり、子供の財産形成に加え将来の相続税の納税財源にもなります。

※この場合、子から親に地代を支払う事により子供に借地権が発生し、親から子供へ借地権を贈与したとみなされる可能性がありますので、あくまで使用貸借とし、 親に地代を支払わないことが前提となります。

既存建物の名義変更と相続に与える影響

 既にアパートなどの収益建物が建築されている場合においても建物名義を贈与等により移転する事で 相続税の評価が変わってきます。

 建物新築当初からしばらくの間、この様な権利関係にあった場合、建物を親に贈与し親名義にすることにより、 土地の相続税評価額が更地(自用地評価)から貸家建付地の評価になり、土地の評価を引き下げる事が可能となります。

 建物新築当初からしばらくの間、この様な権利関係にあった場合、建物を子供に贈与することにより家賃収入による親の財産の増加を防ぎ、 子供の財産形成を図ることが可能となります。この場合、土地の相続税評価額は移転前から継続して借家人が賃借している場合は貸家建付地の評価 減が受けられますが、建物の移転後に賃借人が入れ替わった場合は貸家建付地の評価減の適用は受けられなくなり更地(自用地)評価となってしま いますので注意が必要です。

※当初建物所有者である親とサブリース会社(一括借上げ、家賃保証会社)との間で賃貸借契約を締結し、その契約を子供に引き継ぐ事により、建物移転後も親の土地の相続税評価は貸家建付地の評価減の適用を受ける事が可能となります。
※建物贈与については贈与税が発生します。
また、建物を子供所有の同族会社に譲渡し、「無償返還の届出書」を税務署に提出する事により親の土地については約20%の評価減の適用が受けられ、賃料収入は子供が会社から給与あるいは役員報酬という形で受け取ることも可能です。
 以上のように建物の名義一つとっても相続税にあたえる影響は非常に大きくなります。また、前提条件によっては効果が変わる事もありますのでそれぞれの資産状況、目的に応じて、実行する際は必ず税理士などの専門家と相談してください。

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